つかむために手放す

 

 

 

こんにちは。

 

 

 

カウンセラーの河野です。

 

 

 

先日、家への帰り道、

履いていた靴の靴ひもが

ほどけてしまい、

私はしゃがんで結ぼうとしました。

 

 

 

そのとき私は、

右手に手提げ鞄、

左手に買い物袋を

持っていました。

 

 

 

頭では、

地べたに荷物を

置きたくないなーと、

思っていました。

 

 

 

だから、

右肩に手提げ鞄と買い物袋を

まとめてかけて、

靴ひもを結ぼうとしたんです。

 

 

 

すると、

手提げ鞄と買い物袋が、

肩から下がってきてしまいます。

 

 

 

肩に意識を取られるせいで、

手先にうまく力が入りません。

 

 

 

その結果、どうしても、

靴ひもが結べません。

 

 

 

仕方ないので、道路わきに

手提げ鞄と買い物袋を

置きました。

 

 

 

それで、よくやく

靴ひもを結ぶことが

できました。

 

 

 

すみません。

長々と日常のひとコマを

書いてしまいました。

 

 

 

「横着するなよー」と

言われてしまうと、

それまでなのですが、

 

 

 

囚われを手放せないとき、

こんな状態になっていること、

多いのではないかなーと思います。

 

 

 

 

 

また、こんなお話もあります。

「二人の禅僧」というお話です。

 

 

 

あるところに、

二人の修行中の禅僧がいました。

 

 

 

その禅僧たちが、

川に差し掛かりました。

 

 

 

先に進むためには、

この川を渡らなければなりません。

 

 

 

辺りを見渡して見ても、

橋もないし、渡し舟もありません。

 

 

 

ですが、

体格のいい男性なら、

なんとか川を歩いていけるほどの

深さと流れのようです。

 

 

 

そうこうしていると、

川を渡ろうとする、

一人の女性に会います。

 

 

 

その女性は、

川にかかる橋はないし、

さらに渡し舟もないため、

どうやって向こう岸に行こうか、

思案しているようでした。

 

 

 

そこで、一人の禅僧が、

その女性に、申し出ました。

 

 

 

「私があなたを背負って、

この川を渡って差し上げましょう」

 

 

 

そして、その禅僧は、

女性を背負って、川を渡りました。

 

 

 

女性は、

「ありがとうございます。

とても助かりました。」と、

お礼を言いました。

 

 

 

修行中の禅僧にとって、

女性に触れることはご法度です。

 

 

 

ですから、もう一人の禅僧が、

「いいのか?

女性に触れることは、

禁止されているぞ。」と

言いました。

 

 

 

すると、

女性を背負って川を渡った禅僧が、

言いました。

 

 

 

「お前はまだ女性を

背負っているのか?

 

 

 

私は、川を渡った所で、

女性を降ろしてきたぞ。」と。

 

 

 

背負っていたのは、

なんだったのでしょうか。

 

 

 

 

 

さて、

学習心理学という分野で、

記憶の実験があります。

 

 

 

その実験では、

初頭効果と新近性効果という

二つの効果が

確認されています。

 

 

 

まず、

記憶の実験について、

簡単に説明します。

 

 

 

記憶の実験というのは、

ある一定の時間を区切って、

単語を被検者に示します。

 

 

 

そして、後で、

被検者が、実験中に出てきた単語を

どのくらい覚えているかを

調べる(テストする)

という実験です。

 

 

 

まず、初頭効果とは、

実験の最初の方で提示された単語は、

記憶に定着しやすいという効果です。

 

 

 

なぜなら、

被験者の頭の中で

繰り返し唱えられるからです。

 

 

 

また、新近性効果とは、

実験の最後の方で提示された単語は、

検索されやすいという効果です。

 

 

 

これは、

再生(テスト)するまでの時間が

短いからです。

 

 

 

 

これらの効果から考えてみると、

人間関係で付き合った期間の

最初と最後の記憶は、

より強く残っている可能性が

高いと言えるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

私自身のことで恐縮ですが、

恋愛のような人間関係において、

一つの恋愛が終わっても、

思い出の品だったり、

思い出そのものが、

強く印象に残ってしまうあまり、

なかなか前に進めないことがありました。

 

 

 

学習心理学で言うと、

目に触れることで、

記憶が蘇ったり、

記憶の検索がされやすくなって、

いたのですね。

 

 

 

 

心配や罪悪感を手放す時も同じです。

 

 

 

こうしたらよかったとか、

どうしてできなかったんだろう

という後悔や罪悪感を抱いているのは、

その人との関係性が

大切だったと言うことだと思います。

 

 

 

距離を置いたり、

目に触れないようにすることで、

心配になったりするかもしれません。

 

 

 

ずっと相手のことを思わなければといけない、

忘れたりしてはいけないと、

考えてしまうかもしれません。

 

 

 

時間がかかると思います。

その人その人のタイミングが

あると思います。

 

 

 

私は、

どうしても忘れられないけれど、

 

前に進みたい時、

 

 

 

そういった思い出の品を

 

箱や段ボールに、

まとめてしまっていました。

 

 

 

私は、最終的には

処分したこともあります。

 

 

 

ですが、人によっては、

どうしても処分できない物も

あると思います。

 

 

 

それはそれでいいと思います。

無理に捨てる必要はありません。

 

 

 

私は、まとめることで、

物理的に目に触れないように

しました。

 

 

 

目に触れない時間を

伸ばすようにしていました。

 

 

 

箱に入れたりして、

なるべくまとめる。

目に触れないようにする。

 

 

 

大切だった思い出も

あることでしょう。

 

 

 

前に進むことによって

忘れてしまうのでは?と、

心配しないでください。

 

 

 

あるいは、ふとした瞬間、

忘れてしまったとしても、

自分を責めないでくださいね。

 

 

 

大切な思い出は、

たとえ忘れてしまったとしても、

学びとしてあなたの一部に

なっていることでしょう。

 

 

 

時間が経つにつれて、

その思い出と一緒に前に進めるように

なっていくと思いますよ。

 

 

 

無理せずに、

自分のタイミングとペースで

やってみてくださいね。