立ち止まるって大切

 

 

 

こんにちは。

 

カウンセラーの河野です。

 

 

 

まずは雑談から。

 

 

 

最近、爪切りが見当たりません。

 

そう、爪を切る、あの爪切りです。

 

どこかに置いたまま、

 

どこに置いたのか

 

忘れてしまったようです。

 

 

 

 

 

こんなふうに、

 

探し物が見つからないことって、

 

よくありますよね。

 

 

 

どこにしまったのか。

 

ここにもない。

 

あそこにもない。

 

手当たり次第探してみるけど

 

見つからない。

 

 

 

そんなことありませんか?

 

 

 

こんな話はどうでしょうか。

 

片方の目をなくしたカバのお話です。

 

 

 

とある池に、カバが住んでいました。

 

ある日、そのカバが、

 

池のなかで片方の目を

 

落としてしまいました。

 

 

 

慌てたカバは、

 

振り返って後ろを探してみたり、

 

潜って下の方を探してみたり、

 

一生懸命、動き回って探しました。

 

 

 

でも、なかなか、

 

見つかりませんでした。

 

 

 

そうこうしているうちに、

 

池の泥が、底から舞い上がってしまい、

 

周りの様子が

 

よく見えなくなってしまいました。

 

 

 

とうとう、

 

カバは片目を探すのに、

 

疲れてしまいました。

 

そこで、カバは、しばらくの間、

 

池の底でじっと休むことにしました。

 

 

 

すると、

 

次第に泥が池の底に沈み始め、

 

太陽の光が、

 

少しずつ通り始め、

 

池の底の方まで

 

見えるようになりました。

 

 

 

そして、池の水が澄んで、

 

水の中がよく見えるようになりました。

 

 

 

ふと足元を見ると、なんと

 

探していた片方の目が、

 

すぐ近くに転がっていました。

 

 

 

このお話は、私たちに

 

立ち止まることの大切さを

 

教えてくれています。

 

 

 

困った時は、落ち着いて冷静になること。

 

そうすると、見えてくるものがある、

 

というわけです。

 

 

 

逆に言うと、

 

あせりがあると、

 

余計な情報につられてしまい、

 

本当に大切なことを見失ってしまいます。

 

 

 

すぐに手に入りそうな成果を求めて、

 

やみくもに動いていると、

 

本当に大切なものが

 

見えなくなってしまうのかもしれません。

 

 

 

だから、

 

大切なものを見つけようとする時は、

 

立ち止まって、

 

余計なものを取り払えるといいですよね。

 

 

 

その結果として、最後に、

 

大切なものが残こる、

 

大切なものが見えてくる、

 

ということなのです。

 

 

 

 

 

心理学で、

 

マインドフルネスという言葉があります。

 

 

 

最近では、

 

マインドフルネス瞑想とか、

 

マインドフルネス認知療法が

 

注目されています。

 

 

 

マインドフルネスとは、

 

“Don’t mind”(気にしないで) の

 

“mind”(マインド)です。

 

 

 

“mind”とは、

 

注意を払う、こころに留(とど)める、

 

という意味です。

 

 

 

それが

 

“ful”(満ちている)ということ。

 

 

 

ですから、

 

十分に注意を払って気付いている状態

 

というわけです。

 

 

 

一見すると、

 

心配している状態、

 

気にする状態、なのかな?と

 

思ってしまいます。

 

 

 

ですが、そうではなくて、

 

自分の意識から、できる限り、

 

雑念や余計な情報を取り除いて、

 

「今ここ」で感じていることに、

 

十分に注意を払っている状態

 

ということになります。

 

 

 

つまり、

 

「今ここ」で感じていることが

 

重要なんですね。

 

 

 

私たちは、

 

他人と比較して、

 

自分ではない誰かに

 

なろうとしてしまいます。

 

 

 

また、

 

過去の自分を思い出して、

 

ここではないどこかに

 

思いを巡らせていることも

 

あるかもしれません。

 

 

 

あるいは、

 

将来の不安のようなものを想像して、

 

現実にはありもしないことや

 

まだ起こっていないことのために、

 

心配したりします。

 

 

 

マインドフルネスとは、

 

そういった状態ではなくて、

 

今の自分のあり様に、

 

十分に注意を払っていく

 

ということなのです。

 

 

 

例えば、

 

私がこの文章を書いている現在であれば、

 

自分の呼吸が、

 

鼻や口をスースーと通過する音に

 

気づくことができます。

 

 

 

また、

 

鳥が鳴く声、

 

道路を走っている車のエンジンの音が、

 

聞こえてくるかもしれません。

 

 

 

これらのことは、

 

立ち止まった時に

 

意識されてくるものです。

 

 

 

 

 

 

私にとっては、

 

結核で4ヶ月入院したことが

 

人生における、立ち止まりの体験でした。

 

 

 

結核の治療と言っても、

 

薬を飲んで、

 

安静にしていることなんです。

 

 

 

でも、

 

これからどうなるんだろうかと、

 

病院のベッドに寝ながら、

 

天井の壁紙の模様を眺めていました。

 

 

 

最初は1ヶ月くらいで退院だろうと

 

言われていたのが、

 

2ヶ月に延び、

 

3ヶ月に延びました。

 

 

 

最初の頃は、

 

退院できないことに

 

怒りを覚えたりもしました。

 

 

 

ですが、だんだんと、

 

どうしようもないんだな、

 

長期戦なんだな、

 

ということがわかってきて、

 

あきらめていきます。

 

 

 

そのような心配な時、

 

その心配をかき消そうとして、

 

行動したくなります。

 

行動して、何かを変えたくなります。

 

 

 

退院まで4ヶ月もかかってしまったのは、

 

結核菌が肺全体に広がっていたから、

 

というだけでなく、

 

ある試験が迫っており、

 

入院期間中もその勉強をしていて、

 

そういった無理が、

 

影響していたのかもしれません。

 

 

 

その時、

 

私にとって必要だったのは、

 

まさに立ち止まって、

 

何もしないことでした。

 

 

 

 

 

だから、

 

大切なのは、立ち止まること。

 

今に留(とど)まること。

 

自分自身でいること。

 

 

 

私たちは、

 

物事をうまくやりたいと思うし、

 

向上・進歩したいと思います。

 

 

 

他人との比較もある、

 

他人からどう思われるか、

 

が気になることもあるでしょう。

 

 

 

でも、

 

立ち止まるからこそ、

 

視界が開けてくる時(とき)があります。

 

 

 

どうしてもうまくいかない時は、

 

前に進まないといけないとか、

 

後戻りしたくないとか、

 

ネガティブに考え過ぎないで

 

一度、立ち止まってみてください。

 

 

 

飛躍の前には、「タメ」が必要です。

 

 

 

自分は、勉強も会社勤めも

 

中途半端で続かなかったのですが、

 

今こう思います。

 

 

 

それは、

 

困難を乗り越えるために

 

状況をどう変えるか、

 

ということだけでなく、

 

 

 

「変えられないもの」に対して、

 

どう向き合い、

 

どう付き合うか、

 

ということだったのかもしれません。